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社会福祉法人の法人税|非課税の範囲と申告が必要なケースを解説
税務

社会福祉法人の法人税|非課税の範囲と申告が必要なケースを解説

社会福祉法人と法人税の基本的な関係

社会福祉法人は、社会福祉法第22条において「社会福祉事業を行うことを目的として設立された法人」と定義されています。法人税法上は「公益法人等」(法人税法第2条第1項第6号・別表第二)に分類され、一般の株式会社などの「普通法人」とは異なる課税上の取扱いを受けます。

法人税法第4条第1項では、内国法人は法人税を納める義務があるとしつつ、公益法人等については「収益事業を行う場合」等に限って納税義務が生じると定めています。また、法人税法第6条では「内国法人である公益法人等の各事業年度の所得のうち収益事業から生じた所得以外の所得については、各事業年度の所得に対する法人税を課さない」と明記されています。

つまり、社会福祉法人は原則として法人税が非課税であり、法人税法上の「収益事業」を行った場合にのみ、その収益事業から生じた所得に対して法人税がかかるという仕組みです。

法人税が非課税となる範囲

社会福祉法人が行う事業のうち、法人税が課されないのは以下のような事業です。

社会福祉事業(第一種・第二種)

社会福祉法第2条に定められる第一種社会福祉事業(特別養護老人ホーム、障害者支援施設の経営など)および第二種社会福祉事業(保育所の経営、障害福祉サービス事業、老人デイサービス事業など)は、そもそも法人税法上の収益事業に該当しないため、法人税はかかりません。

介護保険事業・障害福祉サービス

介護報酬や訓練等給付費を受けて行う事業は、一般的に社会福祉事業に含まれるか、法人税法施行令第5条の収益事業に該当しないものとして取り扱われます。

医療保健業の特例

社会福祉法人が行う医療保健業は、法人税法施行令第5条第1項第29号ロにおいて収益事業から除外されています。したがって、社会福祉法人が運営する診療所や病院の所得には法人税がかかりません。これは、同じ医療行為でも医療法人であれば課税される点と大きく異なります。

不動産貸付業の特例

社会福祉法人が社会福祉法第2条第3項第8号に掲げる事業(生計困難者のための低額な料金での簡易住宅の貸付等)として行う不動産貸付業も、施行令第5条第1項第5号ハにより収益事業から除外されています。

席貸業の特例

社会福祉事業として行われる席貸業は、施行令第5条第1項第14号ロ(2)により収益事業に含まれません。

法人税の申告が必要になるケース

社会福祉法人であっても、法人税法施行令第5条に列挙された34業種に該当する事業を、継続して事業場を設けて行う場合には、その事業は「収益事業」として法人税の申告・納付が必要になります。

実務上、社会福祉法人で法人税の申告が必要になる典型例は次のとおりです。

  • 売店・自動販売機の運営 --- 施設内で利用者や来訪者に物品を販売する場合は「物品販売業」に該当します
  • 駐車場の外部貸出 --- 施設の駐車場を外部に有料で貸し出す場合は「駐車場業」に該当します
  • 不動産の賃貸 --- 社会福祉事業以外の目的で不動産を貸し付ける場合は「不動産貸付業」に該当します
  • 公益事業としての介護保険事業 --- 居宅介護支援事業など、社会福祉事業以外の事業として行う場合でも、法人税法上の収益事業に該当しなければ課税されません。ただし、請負業等に分類される業務は注意が必要です

なお、法人税法施行令第5条第2項第2号では、身体障害者等の福祉に寄与する一定の要件を満たす事業(従事者の半数以上が障害者等で、その生活の保護に寄与している事業)は、たとえ34業種に該当しても収益事業から除外されます。就労支援事業の一部がこれに該当するケースがあります。

社会福祉法人に適用される軽減税率

社会福祉法人が収益事業を行い法人税の申告が必要となった場合でも、普通法人より低い税率が適用されます。

法人税法第66条第3項では、公益法人等(一般社団法人等を除く)に対して課する法人税の税率は**19%**と定められています。普通法人の基本税率は23.2%ですので、社会福祉法人は約4ポイントの軽減を受けることになります。

法人の種類税率
普通法人(資本金1億円超)23.2%
普通法人(資本金1億円以下・年800万円以下の部分)15%(租税特別措置法による時限措置)
社会福祉法人(公益法人等)19%

なお、普通法人の中小企業向け軽減税率15%は租税特別措置法による時限的な措置であり、社会福祉法人にはこの特例は適用されないため、所得金額の大小にかかわらず一律19%が適用されます。

みなし寄附金制度とは

社会福祉法人にとって重要な税務上の優遇措置の一つが、みなし寄附金制度です。

法人税法第37条第6項では、公益法人等がその収益事業に属する資産のうちから収益事業以外の事業のために支出した金額は、「寄附金の額とみなす」と規定されています。そして、法人税法施行令第73条第1項第3号ロにより、社会福祉法人の寄附金の損金算入限度額は、収益事業に係る所得金額の50%年200万円のいずれか大きい額とされています。

具体的に言えば、収益事業で得た利益を社会福祉事業(非収益事業)に繰り入れることで、その繰入額が寄附金とみなされ、所得の50%(または200万円)まで損金に算入できるのです。

計算例

収益事業の所得が500万円の場合:

  • みなし寄附金の限度額 = 500万円 x 50% = 250万円
  • 250万円を社会福祉事業に繰り入れれば、課税所得は250万円に圧縮
  • 法人税額 = 250万円 x 19% = 47.5万円

この制度を活用するためには、事業年度中に収益事業から非収益事業への資金の繰入れを経理上明確に処理しておく必要があります。決算時に忘れず振替処理を行うことが実務上のポイントです。

法人税以外の税金(消費税・固定資産税など)

社会福祉法人は法人税以外にも、いくつかの税目で優遇措置を受けています。主なものを整理します。

消費税

社会福祉事業として行われるサービス(介護保険サービス、障害福祉サービスなど)は消費税が非課税です(消費税法別表第一第7号)。ただし、収益事業として行う物品販売や不動産賃貸には消費税がかかります。課税売上高が1,000万円を超える場合は消費税の申告義務が生じます。

固定資産税・都市計画税

社会福祉法人が社会福祉事業の用に直接供する固定資産は、地方税法第348条第2項第10号により固定資産税が非課税です。ただし、収益事業に使用する資産や、社会福祉事業に直接供していない遊休資産には課税されます。

事業税

社会福祉法人は地方税法上の「公益法人等」に該当するため、収益事業から生じた所得についてのみ事業税が課されます。なお、社会福祉法人に対する事業税の税率も普通法人より低く設定されています。

印紙税

社会福祉法人が作成する領収書は、印紙税法別表第一の非課税規定により印紙税が非課税です。営業に関しない受取書として取り扱われるためです。

登録免許税

社会福祉法人がその本来の事業の用に供するために取得する不動産の登記については、登録免許税が非課税となります。

まとめ

社会福祉法人の法人税に関するポイントを整理すると、次のとおりです。

  • 社会福祉法人は法人税法上の「公益法人等」に該当し、原則として法人税は非課税
  • 法人税法施行令第5条に定める34業種の収益事業を行う場合にのみ課税される
  • 社会福祉事業として行う医療保健業・不動産貸付業などは収益事業から除外される特例がある
  • 収益事業に課される税率は19%(普通法人の23.2%より軽減)
  • みなし寄附金制度により、収益事業の所得の50%まで損金算入が可能
  • 法人税以外にも、消費税・固定資産税・印紙税などで幅広い優遇措置がある

社会福祉法人の税務は、どの事業が収益事業に該当するかの判定が最も重要であり、判定を誤ると申告漏れや過大納付につながるリスクがあります。特に売店運営、駐車場貸出、公益事業と社会福祉事業の区分などは判断が難しいケースが少なくありません。

鯵坂税理士事務所では、社会福祉法人の経理代行・税務申告を専門的にサポートしています。収益事業の判定や法人税申告でお悩みの際は、お気軽にご相談ください。

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